休日のお昼。逆瀬川の「Un berger manqant」(≒アン・ベルジェ・モンクゥ=行方不明の羊飼い)に行ってきました。
「Un berger manqant」さんへは、逆瀬川駅から東へ5分ほど。昭和の時代から変わらずそこに建っているような、少し薄暗い雑居ビルの2階にそのお店はあります。
『「羊飼い」を失った私たちの世界は、完全にバランスを失い、崩壊寸前の状態であります。どうやら「羊飼い」は、この世界に迷い込んでしまったようなのです。
私たちは一刻も早く「羊飼い」を探し出し、連れ帰らなければなりません。
そのため、この長く奇妙な名を持つお店を開くことにいたしました。
「Un berger manqant」≒アン・ベルジェ・モンクゥ=行方不明の羊飼い。ここは、こちらとあちら、ふたつの世界を行き来するための出入り口、なのであります。』
(「Un berger manqant」さんのホームページより)
店は、”ふたつの世界を行き来するための出入り口”にふさわしい、ひっそりとした場所にあります。建物は、入るところからどことなく不安を誘う佇まい。羊の毛がふわふわと施されたドアを入ると、グレーを基調とした内装に、どことなく精気のないような、正体の知れないような…、お店全体が、なんとも言えない居心地の悪さを漂わせているような印象を受けます。身を縮めながら、それでもなんとか無骨なカウンターの椅子に腰かけ、さて何をたのもうかと悩みます。
この日は、限定の骨付きチキンのビリヤニ、自家製パンチェッタのBLTサンドを注文。


ビリヤニは、はじめていただいたお料理でした。
ビリヤニはインドの炊き込みご飯で、松茸ご飯、パエリアと並ぶ世界三大炊き込みご飯のひとつなんだとか。米と香辛料で味付けした具材を、層状に重ねて炊き込んだもので、一般的にライタ(野菜を、ヨーグルトやスパイスで和えたもの)と一緒に供されます。
「Un berger manqant」さんのビリヤニは、スパイスがしっかり効いたごはんがとにかくおいしい。鶏肉もホロホロと柔らかく、また、野菜をたくさん食べられるのもうれしいポイント。ビリヤニ、ライタを交互に食べると、ライタのヨーグルトが、スパイスの刺激をやわらげながら、全体としてさっぱりとした後味にしてくれている気がして、これは初めての食体験。お腹もいっぱいになり、大満足の一皿でした。
食後にチャイ、ジンジャーレモンを注文。


お店の雰囲気にもだんだんと慣れてきて、ぐるりと店内を見渡してみると、装飾にガラスがたくさん使われていることに気がつきました。
大きなガラス窓が二つ。一つの窓にはガラス棚が設えてあり、綿毛の入ったガラスのデキャンタやポーション瓶が行儀よく置かれています。天井からはガラスのballoonシャンデリアが下がり、色の少ない内装の中、そこだけにたくさんの色が集まっています。
アースカラーとブドウ色が丸く集まって浮かんでいるballoonシャンデリアは、内装の雰囲気とはうらはらに、かわいらしさや楽しさが詰まって、まさに弾けようとしているよう。ふと、大きなふたつの窓から、お店に日差しが入る時間帯を想像してみると、このたくさんのガラスの装飾に光が入って、店内がきらきらと明るくなるのかもしれないと思い至りました。そう思って、また店内を見渡してみると、お店全体の雰囲気が、なんとなく精気のない、正体の知れないというイメージから、以外にも開放的で、繊細な中世的ファンタジーの世界に見えてきたから不思議。そして帰る頃には、いつの間にかすっかりくつろぎ、居心地のいい時間を過ごしていました。

「Un berger manqant」さんでは、季節問わずに出されているかき氷も名物のよう。
今回はいただくことができなかったので、今度はぜひ、かき氷を目当てに、再びお店に訪れたいと思います。

