3月も半ば。「春の雨」、「菜種梅雨」という言葉が思い浮かぶ、しとしとと雨の降る日が続いています。
雨上がりには、一雨ごとに木の芽花の芽が膨らんできているような、少し活動的な空気も感じます。
道端の花壇の草花や土の様子を眺めながら歩いていると、たくさんのきれいな花がうつむいて咲いているのを見つけました。

調べてみたらこれはクリスマスローズの仲間でした。
お花屋さんで見かけるクリスマスローズは、古い洋館のベルベットソファを思い起こさせるような濃いシックな色合いのものが多く、また、上を向いて咲いています。このうつむいて控えめに咲いている、茶花にもなりそうな淡い色の花が、そのクリスマスローズの仲間であるということに驚きました。

クリスマスローズは、キンポウゲ科の常緑多年草。ヨーロッパの原産で明治の初めに日本に渡来しています。花のように見えているのは萼(がく)で、実際の花弁は小さく、雄しべより短くて目立ちません。根にはサポニンが含まれていて強心剤、利尿剤として用いられるそう。変種も多いようです。
また、植物学では、クリスマスローズがうつむくように下を向いて咲くのは、下向きで咲く花を好むハナバチ類の訪花を誘引していると考えられているそう。ハナバチ類は行動範囲が広く、一つの花での採蜜時間が短く、効率よく多くの花を訪れて受粉の可能性を増やしてくれる、植物にとってはありがたい存在。このため、クリスマスローズは、花首を長くし下を向くように進化したようです。なお、近年の品種改良により、花首が短く上向きの花も誕生したんだとか。
クリスマスローズの花言葉は、『追憶』『私を忘れないで』
クリスマスローズの花言葉の多くは、中世のヨーロッパで騎士が戦場に行くとき、自分のことを忘れないでほしいという思いをこめて恋人にクリスマスローズを贈っていたことに由来しています。
また、花や葉の薬効を知った古代ギリシャの人々が、クリスマスローズを精神安定剤として利用していたことから、『いたわり』『慰め』といった花言葉も生まれたそうです。
クリスマスローズの和名は「初雪おろし」
まだ寒く、雪下ろしを始める時期から咲き始めるからでしょうか。クリスマスローズが、そんな真冬の寒い時期から、この3月の雪解雨が降るまでの長い間、冬の景色に色を添えてくれる希少な花ということを知り、次の冬、またクリスマスローズに出会うのが楽しみになりました。
参考文献:日本大百科全書(ニッポニカ)
『NHK趣味の園芸』2018年1月号

