本格的な紅葉シーズンを前に、近頃、街路樹の剪定作業を多く見かけるようになりました。
よく茂った街路樹や公園の木々の枝葉が次々と落とされ、場所によってはすっかり視野が開けた歩道や街並み。
そんなさっぱりとした景色の中。剪定作業の一方で、形よく刈り込まれて整えられた常緑樹の金木犀が、今を盛りにオレンジ色の小花をたくさん咲かせています。
枝のそこここに、こんもりと小花を咲き誇らせている金木犀は、特に夕方の明るい日差しを受けると、その名前の通り、樹木全体が金色にひかり輝くよう。
そして、金木犀のその大きな特徴でもある、甘めのしっかりとした香りが悠々と辺りに漂う様子は、まるで金木犀がその芳香で秋の到来をこちらに知らせてくれているようでもあり。それはとても豊かで、そしてどこか懐かしいような気持ちにさせてくれるものでもあります。

秋の風物詩、秋の季語にもなっている金木犀。日本では春のジンチョウゲ、夏のクチナシとともに、特に香り高い花を咲かせる花木として「三大香木」と呼ばれ親しまれています。
また、金木犀は、果実ではなく花を食べる植物としても有名。アジアの原産地では花冠を砂糖漬けにしたり、リキュールにしたり。お茶に混ぜて花茶にしたり、蜜煮にして香味料に仕立てたりするそうです。
日本でも手に入りやすく、金木犀を口にするのに一番取り入れやすいのは、その花を白ワインに3年間漬け込んで作られるという桂花陳酒かもしれません。桂花陳酒は楊貴妃が愛したお酒としても知られているようで、爽やかな味わいを楽しむことができ、とても甘く、キンモクセイの香りが高いのも特徴です。
本格的な秋の始まりを、目で、香りで、また優しい味で楽しませてくれる金木犀。開花時期はそう長くはないようですので、この時期を逃さないよう、金木犀を見かけたら、足をとめてあらためてゆっくりと鑑賞してみるのもいいかもしれません。

